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症状固定後の治療費

以前、説明しましたが(→こちら)、症状固定後の治療費(将来治療費ということがあります。)は損害賠償の対象とならないのが原則です。
治療は症状を良くするためのもので、症状固定により、以後、症状が良くならないのであれば、それは「治療」ではないというのが保険会社の原則的な考え方なのです。

とはいっても、類型的に将来治療費を認める場合があります。
例えば、原総合法律事務所で扱った例として、次のようなものがありました。

遷延性意識障害、植物状態については、将来治療費を認めるのが、裁判所の考え方です。

歯が欠けた場合、将来も定期的に歯冠補綴治療費が必要であるとして、その将来治療費を認めた例がありました。もちろん、そのためには歯科医師の将来の治療が必要である旨の意見書と見積書が必要です。これも同様のケースで将来治療費を認めた裁判所の判断がありました。

むち打ち損傷の神経症状について、症状固定後も週3回程度の通院を半年~1年も続けている場合に、少なくとも和解時、あるいは判決言渡し時までの将来治療費だけは認めた例がありました。
こういった場合、裁判所も将来治療費を認めないのが原則だと思います。
原総合法律事務所で扱った例では、症状が重いことが自費での通院を長期間続けたことからうかがわれるのに、一方で、損保会社の強い意向で、事故後2~3か月という早い時期に症状固定したという経緯が、将来治療費を認める方向に働いたのだと思います。