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先に加害者側(損保会社)から損害賠償を受けている場合は、当然ですが、二重取りはできないので、労災保険から給付を受けることはできません。
ただし、その例外として、特別支給金があることは、先に説明しました(→こちら)。
その考え方からすると、どうなんだろうと思うのが、逸失利益の損害賠償を受けた場合の障害補償年金です。
厚生労働省は、第三者行為災害事務取扱手引(平成17年2月1日付け基発第0201009号)という文書で、労働者が逸失利益の損害賠償を受けた場合、障害補償年金等の労災給付の支給停止できる期間を事故発生から3年と定めています。
ということは、逸失利益の損害賠償を受けていても、事故発生から3年経つと、支給停止が解除され、障害補償年金等を受給できるようになります。
もともとは、自動車保険(任意保険)の加入率が低いときに、逸失利益の十分な賠償は得られない場合があるという前提で、支給停止の限度を3年と定めたようです。
そこで、最近は、逸失利益の賠償が高額化しているからという理由で、支給停止の限度を延ばそうとする議論もあるようです。
もっとも、厚生労働省の手引が書き換えられない限り、事故発生から3年で支給停止解除という扱いは変わりません。
ちなみに、裁判で逸失利益の損害賠償を請求する場合は、審理が終わるまでに(正確には、口頭弁論終結時までに)支給が確定している年金額は、逸失利益から差し引かれます。
逆に言えば、その後の年金額は差し引かれません。その後の年金は、事故発生から3年の限度で支給停止されるわけです。
更に細かい話しですが、支給停止される3年という期間は、事故発生日から数えるのであって、症状固定日からではありません。