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逸失利益の基礎収入に平均賃金を使える場合-若年者とは何歳まで

逸失利益の計算の基礎となる収入は、事故前の現実の収入が原則です。

その例外の一つが、若年者であることは説明しました(→こちら)。
裁判所は、30歳までの若年者については、全年齢平均賃金より現実の収入が少なければ、全年齢平均賃金を使って逸失利益を計算することを認めています。

そのときに、30歳を超えると一律により低額の現実の収入で計算することが合理的なのか疑問を述べました。

確かに、裁判所の判断(判決)の傾向を見ると、30歳で明らかに傾向が変わります。
おおむね平成17年から20年までの判決を数えると、事故時30歳未満では、全体の8割強が全年齢平均賃金を基礎とし、事故時30歳以上35歳以下では、全体の2割程度しか全年齢平均賃金を基礎としていないという報告があります。

でも、事故時30歳以上に全年齢平均賃金を採用する判決もあるわけです。

さらに、自賠責の査定要領を見ると、35歳を統計値で算定する限度としています。

そうすると、30歳以上でも、35歳くらいまでは、全年齢平均賃金を基礎とすることが、明らかにおかしいということもできません。
ただ、将来、全年齢平均賃金程度の収入を得られる可能性があることが前提ですから、現在の勤務先がどんなところか、勤務状況は良かったかといった点を十分明らかにすることが必要です。