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相続、遺言

「相続・遺言」のページでも、詳しくご説明しています。解決方法は、個々の事情等により異なります。お悩みを解決するには、当事務所の弁護士へご相談ください。

目次

  1. 父が亡くなりました。遺言がありません。どうしたらいいですか。
  2. 財産を姪に相続したいのですがどうしたらよいですか。
  3. 父が亡くなったのですが、父の遺言書では遺産は全て兄に相続されることになっており、自分の相続分がありません。 私は父の遺産をもらうことはできないのでしょうか。
  4. 亡くなった父には財産もありますが多くの債務もあります。相続すると債務も受け継がなければならないと聞いたのですが、財産だけもらうことはできませんか。
  5. 兄が亡くなりました。兄は多額の借金を抱えていたらしく、相続人である兄の妻と子どもたちが相続放棄をしたため、私に督促状が届きました。借金のことを何も聞いてなかった私はただ驚いているのですが、返済義務から免れる方法はありますか。
  6. 父が亡くなりました。父名義の不動産がありますが、名義変更手続きはいつまでに行なえばよいのでしょうか。名義変更手続きをしなくても、特にペナルティはないと聞いたのですが。
  7. 一度書いた遺言書を書き換えたり、取り消したりすることはできますか。また、どこに保管しておけばよいですか。
  8. 長男に遺産を譲りたいと考えています。私が亡くなった後、長男に妻の面倒をみてもらうためにはどうしたらよいですか。

【1】父が亡くなりました。遺言がありません。どうしたらいいですか。

遺言がない場合は、まず相続人全員で遺産をどのように分けるか話し合うことになります。その場合、分け方の目安になるのが、民法が決める相続分(法定相続分といいます。)です。しかし、生前、相続人のうちの一人が父から高額な贈与を受けていたり(特別受益といいます。)、逆に、父の財産を増やすのに貢献したりしていた場合は(寄与分といいます。)、その調整が必要になります。話合いがまとまらなければ、家庭裁判所の手続(調停、審判)をとるほかありません。

<法定相続分の例>
例えば、妻と子二人が相続人の場合、遺産の2分の1は妻に、残りの2分の1を子二人が分けるので、子はそれぞれ4分の1になります。

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【2】財産を姪に相続したいのですが、どうしたらよいですか。

養子も実子と同じように相続できますので、姪御さんを養子に入れて相続させるという方法があります。また、遺言書を作り、姪に相続(正確には遺贈)させると書くこともできます。ただし、遺言でも奪うことのできない他の相続人の最小限の取り分(遺留分といいます。Q3をご覧ください。)があるので注意が必要です。その他、遺言書の書き方には厳しいルールがあり、ルールどおりに書かれていない遺言書は無効なので、専門家に相談された方がよいでしょう。

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【3】父が亡くなったのですが、父の遺言書では遺産は全て兄に相続されることになっており、自分の相続分がありません。 私は父の遺産をもらうことはできないのでしょうか。

相続人には、原則として、遺言によっても奪うことのできない最小限の取り分(遺留分といいます。)があります。そこで、あなたは、お兄さんに対し、遺留分を主張し、お父さんの遺産の中から、遺留分にあたる部分をもらうことができます。この遺留分は、どのような人が相続人かによって変わってきますので、詳しくは専門家にご相談ください。

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【4】亡くなった父には財産もありますが多くの債務もあります。相続すると債務も受け継がなければならないと聞いたのですが、財産だけもらうことはできませんか。

相続される財産には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(債務)も含まれます。そこで、相続するのであれば、債務も受け継がなくてはなりません。プラスの財産だけを相続する方法はありません。もっとも、相続は必ずしなければならないというものではありません。相続放棄をすると、プラスの財産もですが、マイナスの財産も受け継がないことができます。
また、ある程度の遺産があるのだけれど、それで債務を全額支払えるかどうか分からないというような場合には、限定承認といって、受け継いだプラスの財産の範囲内で債務を負担するという相続の方法もあります。
ただし、相続放棄や限定承認には期間の制限がありますし(3か月)、遺産を処分したような場合には、相続放棄や限定承認はできません(法定単純承認といいます。)

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【5】兄が亡くなりました。兄は多額の借金を抱えていたらしく、相続人である兄の妻と子どもたちが相続放棄をしたため、私に督促状が届きました。借金のことを何も聞いてなかった私はただ驚いているのですが、返済義務から免れる方法はありますか。

この場合、お兄様の奥様とお子様が相続放棄をした結果、お兄様の相続は、民法上、お兄様の実父母に発生します。お兄様の実父母が既に亡くなっていたり、相続放棄をしたり、すると、お兄様の御兄弟に相続権が移ります。本件では、以上の事情であなたにお兄様の相続権が発生した訳になります。
さて、相続を承諾すると、もらって得になるプラスの財産だけではなく、借金などマイナスの負債も受け入れなければなりません。あなたの場合、お兄様の奥様とお子様のように相続放棄をすれば、お兄様のプラスの財産を受け取ることができないと同時に、借金も負わなくて済みます。
相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に、相続放棄の申述をしなければなりません。この「自分のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続人が相続開始の原因である事実の発生を知り、さらにそのために自分が相続人となったことを知った時をいいます。
本件の場合、あなたがお兄様の死去を知るだけではなく、そのためにあなた自身が相続人となったことを知った時(お兄様の奥様やお子様が相続放棄をしたことは通常分からないでしょうし、仮に分かっていたとしてもそのためにあなたが相続人になっていたとは分からないでしょうから、督促状が届いた時)から3か月以内であれば相続放棄をすることができます。相続放棄をしないでこの3か月間が過ぎてしまったら、相続を承認したとみなされます。この場合、例外的な事情がない限り、あなたはお兄様の債務を負わなければなりません。どうしても債務を支払えない場合には、自己破産免責申立てなどの債務整理を行う必要があるでしょう。
なお、相続放棄のほかに、「限定承認」という制度もあります。限定承認は、相続によるプラスの財産を限度として、マイナスの財産を支払うという制度です。しかし、限定承認は、相続人全員で行わなければならないなど、不便な部分があるので、あまり活用されてはいません。

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【6】父が亡くなりました。父名義の不動産がありますが、名義変更手続きはいつまでに行なえばよいのでしょうか。名義変更手続きをしなくても、特にペナルティはないと聞いたのですが。

不動産の登記について、特にいつまでにしなさいという決まりもペナルティもありません。
しかし、名義変更手続きをしておかないと、固定資産税が亡くなったお父様の名義でいつまでも請求されますし、せっかく相続した不動産をいざというときに売却したり、担保に利用したりすることができません。特に問題となるのが、あなたが他の兄弟と遺産分割協議をした結果、お父様の不動産を一人で所有することになったときです。このような場合に、名義変更手続きをしていないと、他の兄弟の本来の持分について、第三者が買い取ったり、差押えたりすると、いくら遺産分割協議の結果あなたが一人で所有するに至ったのだと主張しても通用しません。
このような事態を避けるためにも、早めの名義変更手続きをお勧めします。

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【7】一度書いた遺言書を書き換えたり、取り消したりすることはできますか。また、どこに保管しておけばよいですか。

一度、遺言書を書いてしまっても、その後の事情の変化により、遺言の中身を変えたり、取り消したりしたいということは、当然起きうることです。
このような場合、新しい日付で遺言書を作成し直せば、以前の遺言書について取消しなどの手続を行わなくても、以前の遺言書の効力はなくなります。
また、保管場所ですが、誰でも簡単に手に取ることができるような場所に置いておくと、誰かが持っていってしまったり、捨ててしまったりするかもしれません。かといって、あまりにも厳重にしまっておくと、あなたが命尽きた時に、誰も遺言書を見つけられず、「遺言書はありません。」という扱いにされてしまうかもしれません。
そこで、家族に遺言書を作成したことを伝えたうえで、遺言書の保管場所としては、1.信頼できる人に預けたり、2.弁護士、司法書士、行政書士、税理士など、法律の専門家に預けたり、3.銀行の貸金庫に預けたりするとよいでしょう。
また、自分の遺言内容を確実に実現したいという場合には、「公正証書遺言」の作成をお勧めします。

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【8】長男に遺産を譲りたいと考えています。私が亡くなった後、長男に妻の面倒をみてもらうためにはどうしたらよいですか。

あなたの長男に遺産を譲りたいというのであれば、「長男に遺産を相続させる。」という内容の遺言書を作成することになります。もっとも、長男以外にも相続権を持っている親族がいるのであれば、場合によっては、その親族が遺留分という権利を主張してくるかもしれません。
長男に妻の面倒をみてもらいたいというのであれば、これもその旨を遺言書に書くことができます。遺言では、「誰かに何かを相続させる。」という単純なものだけではなく、細かい相続の方法を決めることができ、相続人に何らかの負担をさせることもできます。
本件では、「長男が、私の妻○○の生活を扶助することを条件に、長男に遺産を全て相続させる。」という遺言書を作成するとよいでしょう。

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