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家業の従事が寄与分と認められる場合

 亡くなった親の家業に従事していたとして、より多く相続したいという寄与分の主張がされることがよくありますが、なかなか認められません。寄与分が認められる要件をまとめた書面を見てください。

2 寄与分が認められる要件
 確かに,「被相続人の事業に従事し,相続財産の維持又は増加に寄与した場合」は,いわゆる「家業従事型」として,民放904条の2第1項の「被相続人の事業に関する労務の提供」に該当し,寄与分が認められる場合がある(最高裁判所事務総局家庭局監修『寄与分事例集』13頁,1994年)。
 しかし,「夫婦間の同居,協力,扶助の義務(民752)や,親子・兄弟姉妹間における親族間の扶養義務(民877)の範囲内でその履行としてなされた行為は,寄与行為ということはできない。」。「被相続人との身分関係や生活関係に応じて通常期待される程度を越える貢献があってはじめて特別の寄与と認められる。」のである。(東京家庭裁判所家事第5部編著『遺産分割事件処理の実情と課題』判タ1137号111頁,2004年。以下「判タ特集」として引用する。)

 具体的には,「寄与分が認められるためには,寄与行為と相続財産の維持,増加との因果関係が必要である」(判タ特集112頁)。
 また,「寄与行為の無償性も要件である」。「被相続人の家業に従事していたとしても,従業員として相応の給料を受け取っていたり,あるいは,給料として支給を受けているものがなかったり少額であったとしても,生活全般が被相続人の事業からの収入で賄われていたり,被相続人の財産である家屋に無償で同居していたというような事情がある場合は,寄与があったとは認めにくい。」。(判タ特集112頁)
 さらに,「相続人の相続財産の維持ないし増加についての貢献はあったものの,一方で,被相続人から生前贈与として相応の対価を得ている場合も,寄与分を認めることは困難である(東京高決平8.8.26家月49巻4号52頁)。」(判タ特集112頁)。