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人身事故扱いにすべきか

事故に遭い怪我をしたものの、人身事故扱いにすべきか迷っているといった相談を受けることがあります。
結論から言いますと、過失割合や怪我との因果関係が争いとなりうるケースでは、必ず人身事故扱いにすべきです。人身扱いしていないと、以下の様なデメリットがあります。

まず、警察による実況見分が実施されません(注1)。過失割合に争いがあり、ドライブレコーダーの映像もないような事故だと、事故態様を立証するための、客観的な証拠としては、実況見分調書くらいです。
実況見分調書の現場見取図がないと、過失割合の立証にあたり、被害者に不利となる可能性がありますので、必ず人身扱いとした上で、実況見分をしてもらうべきです。

ところが、警察から、「人身扱いにするとあなたも刑事罰に問われる可能性がある」と言われ、暗に人身扱いにしないよう圧力をかけられた、という相談を受けることがあります。
確かに、こちら側の過失が0ではなく、相手方にも怪我がある場合、形式的には過失運転致傷害罪等に当たりうるため、「刑事罰に問われる可能性がある」という言い方であれば、全くの嘘とまでは言えないのでしょう。
しかしながら、このようなケースで被害者の側に、実際に刑事処分が下されたことは、少なくとも、当事務所の扱った案件では、聞いたことがありません。

他方で、これも稀でしょうが、安全運転配慮義務違反を理由に、行政処分として、違反点数が加算され少額の反則金を支払うことはあるのかもしれません。ただし、その時点での前歴や点数次第ですが、安全運転配慮義務違反が1回あった程度で即免停ということにはならないでしょう。あるかどうかもわからない軽めの行政処分を回避するため、人身扱いとせずに民事で適切な賠償を受ける機会を放棄するというのは、お勧めしません。
もし、警察から上記のように言われた場合でも、人身事故扱いとすべきす。

注1
実務上、物損事故の場合は、基本的に実況見分が省略されていますが、『物件事故処理要領について(概要)』(平成4年2月26日交指発第88号)によれば、実況見分を省略できる条件として「当事者が現場見分を希望せず」とあるため、当事者が実況見分を実施するよう求めれば、物損事故でも、実況見分は実施されることとなるでしょう。実際に、物損事故で実況見分調書が証拠として提出されている裁判例もあります。