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健康保険への切り替え(その1)

治療費が打ち切られると、以降は、相手方の任意保険会社から治療費は支払われませんので、健康保険に切り替えた上で通院することとなります(この間の治療費は病院の窓口にて3割負担で支払うこととなります)。
この点、病院によっては、患者に対して、交通事故では健康保険が使えない旨の説明をするところもあるようです。
しかしながら、交通事故でも健康保険によって通院はできます。
実際に、当時の厚生省から、「最近、自動車による保険事故については、保険給付が行われないとの誤解が被保険者の一部にあるようであるが、いうまでもなく、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりなく、保険給付の対象となるものである」といった内容の通達も出されています(昭和43年10月12日保健発第106号)。

それにもかかわらず、未だに、健康保険の切り替えに消極的な対応をする医療機関がありますが、これには、いくつか理由があると考えられます。
たとえば、以下のような理由です。
①交通事故では健康保険が使えないと単純に誤解している
②自由診療から保険診療へ変わると医療機関にとって減収となるから
③終診後に自賠責様式の診断書を作成することが面倒
④終診後に自賠責様式の診療報酬明細書を再度作成することが面倒

①は、医療機関が、単純に誤解しているケースです。健康保険も利用可能であることを説明し誤解が解ければ、それで足りることもありますし、説明しても、なお対応を変えないというケースもあるでしょう。
説明の甲斐無く、健康保険への切り替えに応じてくれないような場合は、自由診療の10割負担で通うわけにもいかないため、現実的には、転院を検討するしかありません。ただし、転院するとなると、前院と後院で、傷病名・治療内容等が変わる可能性があり、事故と治療の因果関係を立証する際にリスクを伴うため、注意が必要です。

当事務所が扱ったケースですと、交通事故ではなく私病としてであれば、通院可能であると説明する医療機関がありました。
しかしながら、それ自体が誤解に基づくものですし、もしも、私病で通うこととなれば、診断書やカルテの傷病名が変わるため(一括対応時には「外傷性頚部症候群」だった傷病名から、「外傷」の記載が外れて、私病としての「頸椎症」となったりすることが考えられます。)、後々、相手方の保険会社から、事故との因果関係を争われるリスクがあるので、お勧めできません。
このような場合も、安易に私病として通院することはせずに、健康保険による通院が可能である旨、主治医に説明するか、それでも対応が変わらない場合は、転院が検討されます。
他にも、誤解であることを説明し、健康保険での通院が可能となったのですが、これまで病院として健康保険への切り替えの経験がないので、手続きが分からないと言われたケースもありました(整形外科で健康保険への切り替え経験がないということは、通常考えにくいのですが)。
万が一、そのように言われたら、必要な手続きについて、医療機関から、健康保険組合等へ問い合わせてもらうしかないでしょう。