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過失相殺率を修正する著しい過失、重過失

過失相殺率の修正要素を見ると、たいてい「著しい過失」とか「重過失」が修正要素に上がっています。

そして、よく、こんな見通しのいいところで衝突したのだから、「著しい過失」や「重過失」で過失相殺率が修正されるのではないかという質問を受けます。

しかし、そもそも、前方不注視がなければ、事故など起きないわけで、「普通の」前方不注視は、基本の過失相殺率に織り込み済みです。
確かに、脇見運転は著しい過失として過失相殺率を修正することがありますが、そこでいう脇見運転は、ただ前方をよく見ていなかったというだけでは足りず、前方を見ていない(よそを見ている)場合をいいます。ちなみに、カーナビやカーテレビ、スマホを見続けて衝突した場合も、著しい過失とされますが、それとの比較からも、ただ前方をよく見ていなかっただけでは足りないということが分かると思います。
脇見運転として過失相殺率が修正されるのは特別な場合と考えるべきです。

そのほかにも、携帯電話やスマートフォンを操作しながら運転したり、肩手で通話しながら運転した場合は、著しい過失とされていますし、酒気帯び運転や15km以上の速度違反も著しい過失になります。
さらに、酒酔い運転や無免許運転、30km以上の速度違反だと重過失になります。
そうすると、やはり、著しい過失や重過失に当たる場合は、多くはありません。