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労災保険と加害者側(損保会社)への請求は、どちらを選んでも構いません。
ところが、労基署の窓口に相談に行くと、自賠責を先行するようにと言われることがあります。
これは、厚生労働省内部の通達があるからです。こんな通達です。
「労災保険の給付と自賠責保険の損害賠償額の支払との先後の調整については、給付事務の円滑化をはかるため、原則として自賠責保険の支払を労災保険の給付に先行させるよう取り扱うこと」(昭41年12月16日付け基発1305号)
確かに、労災保険では、慰謝料の補償はありませんが、労災保険の方が有利になる場合があることは説明しました。
そもそも、通達は、行政内部の扱いで、労働者がそれに縛られるものではありません。
しかも、通達そのものが、「原則として」と書いているのであって、例外は当然あります。
そこで、厚生労働省は、以前もふれた第三者行為災害事務取扱手引(平成17年2月1日付け基発第0201009号)で、次のような扱いを確認しています。
「自賠責先行の原則を踏まえつつ、第一当事者等の意向が労災保険を希望するものであれば、労災保険の給付を自賠責保険等による保険金支払よりも先行させることとしているところであるが、労災保険の給付請求と自賠責保険等の保険金支払請求のどちらを先行させるかについては、第一当事者等がその自由意思に基づき決定するものであるため、その意思に反して強制に及ぶようなことのないよう留意すること」
労基署の窓口で、労災保険を使う意思をはっきり示してください。
手続としては、「労災保険先行申出書」とか「労災保険先行願い」といったものを求められるでしょうが、労災保険を先行させることができます。