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前回、自営業者の休業損害の考え方を2つ紹介しました。
A 事故の前年の所得と、事故により休業した年の所得を比べ、減収額を計算する方法
B 事故の前年の所得+固定経費を365で割って日額を出し、これに休業期間をかける方法
でも、このA、Bの方法では、前年の所得がマイナスだった場合=赤字経営の場合、休業損害が出なかったり、わずかにしかならないことになります。
まず、Aだと、前年のマイナスが、事故の年に更に大きなマイナスになると、そのマイナスの増加分が休業損害となります。でも、わずかな休業損害にしかならないでしょう。
次に、Bだと、前年のマイナスの所得+固定経費がプラスの場合には休業損害が計算できます。でも、やはりわずかな額にしかならないはずです。
そこで、休業損害を大きくできる計算方法として、
C-1 Aの休業損害に、休業中、無駄に支出した固定経費を加える方法や、
C-2 無駄に支出した固定経費だけを休業損害とする方法があります。
一番、額が大きくなるのはC-1ですが、この計算方法には合理的でないという批判があります(なぜかは難しいので省略します。)。
でも、損保会社との交渉では、この方法で計算した休業損害を認めることがあります。そもそも、申告所得は少なめだという実態が分かっているからでしょう。
C-2は、C-1よりは合理的と考えられていますが、あまり高額にはなりません。
結局、赤字経営だと、A、B、C-1、C-2のいずれによっても、少額の休業損害しか出ないことがあります。そういう場合は、家計を維持できる収入があったはずで、それが奪われたとして、平均賃金の何割というような大ざっぱな計算方法を使うしかない場合もあるのです。