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損保会社との交渉が決裂するとき、損保会社は、裁判になれば、交渉時は認めていた点も争うことがあることを念押しします。
そして、実際、裁判になると、交渉時は認めていた点を争うということは、良く経験します。
そういう場合、争うべき点を争われるのであれば、やむを得ないと思います。
でも、そこは争うべき点ではないだろう、いくら争っても結論は見えているだろうという点も含めて、裁判になると、何でもかんでも争う損保会社の対応は、いかがなものかと思います。
そのあたりの温度感をわきまえて、真に争うべきところは力を入れるけれども、ポーズとして争っているところはサラッと流す加害者側の代理人弁護士(損保会社の顧問)が相手であれば、特に問題を感じることもありません。
しかし、訴訟前に入手している資料から結論は見えているはずなのに、それを読み取れないのか、無駄に争いを広げる加害者側の代理人弁護士(損保会社の顧問)がいます。どうせ結論は分かっているのにと思いながら、余分な主張や立証に手間を取られ、裁判が長期化するのは、被害者いじめと言われても仕方がないと思います。
このことを書いたのは、前回ふれた慰謝料の増額の理由として、裁判における加害者側の対応を問題とした判決があるからです。
過失相殺に関するものですが、例えば、結果として加害者の過失割合が100%と認定された例で、交渉段階で被害者の過失割合が30%と主張し、訴訟段階で被害者の過失割合が40%と主張したことが、慰謝料の増額の理由として考慮された判決があります(神戸地裁平成10年6月4日判決)。
また、結果として加害者の過失割合が95%と認定された例で、訴訟段階で被害者の過失割合が少なくとも50%と主張したことが、慰謝料の増額の理由として考慮された判決があります(名古屋地裁平成21年9月11日判決)。
過度の過失相殺を主張することが、正当な権利主張の範囲を逸脱しているというのが、その理由です。
無駄に争いを広げる加害者側の裁判での対応に対しては、正当な権利主張の範囲を逸脱しているとして、積極的に慰謝料の増額を求めていくことが必要だと思うのです。