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ホーム法律の話(ブログ)交通事故よく問題となる傷病名から(医学的基礎) > 前十字靱帯損傷の治療

前十字靱帯損傷の治療

前十字靱帯の損傷には、靱帯が完全に切れた場合と、靱帯の一部が切れて靱帯が緩んだ場合があります(不全断裂、部分断裂、不全損傷とかいいます。)。

不全断裂であったとしても、前十字靱帯の損傷は、自然に治ることはないとされています(稀に、もとのように戻ることもあるようですが。)。
手術以外に前十字靱帯損傷に有効な治療はないとされています。ちなみに、この手術は、自分の体の中にある腱の一部を持って来て、靱帯を作り直すので、再建術といわれます。
筋力強化などのリハビリだけで、前十字靱帯損傷を治すことはできないのです。

しかし、前十字靱帯を損傷しても、手術しない人が大勢います。
ひどい痛みがなくなれば、日常生活に大きな支障を来すものでもないからです。

一方、スポーツをする人や、日常生活で「膝くずれ」を繰り返すような人は、手術を勧められるでしょう。
半月板や軟骨を傷付けてしまい、膝関節症(関節軟骨がすり減って痛む病気)を発症するからです。ちなみに、年齢に伴って発症する場合を変形性膝関節症といい、けがの経過で発症する場合を外傷性膝関節症といいます。
治療の方針については、医師とよく相談することが必要です。

損害賠償の関係でいえば、前十字靱帯損傷が自然に治ることはないので、手術を選ばなかった人は、日常生活に戻ることができたとしても、神経症状(痛みなど)や関節の不安定性を残すことがあります。
また、手術を行ったとしても、事故前の状態には戻らないことがあり、やはり、神経症状(痛みなど)や関節の不安定性を残すことがあります。
これが、後遺障害となるわけです。