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つい先日、逸失利益(将来の収入の減少)を計算するときには、将来の分の一括前払いを受けるので、利息分を割り引くこと(中間利息控除)を説明したところでした(→こちら)。
その場合の利息は、現実にはあり得ない年5%もの高利で計算するのが最高裁判所の考え方であることも説明しました(最高裁平成17年6月14日判決)。
ところが、その考え方が、変わろうとしていることが、昨日、報道されていました。
年5%から年3%と、被害者に有利に変更される方向が決まったのです。
先日の説明では省略したのですが、最高裁判所の考え方は、次のようなものでした。
「法的安定及び統一的処理が必要とされる」場合には、民法が定める利率によるべきで、交通事故の損害賠償についても、ケースごとに利率が異なることは良くない。だから、民法が定める利率である年5%によるべきだ。
そうすると、民法が定める利率が変更されれば、その利率で中間利息控除すべきだということになります。
そして、昨日の報道では、法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会が、この利率を、現状の5%から3%に引き下げたうえで変動制とする案を了解したというのです。今後、来年の通常国会で関連法案の成立へ向けて、動き始めます。
この法改正が成立すれば、逸失利益の額は、かなり増額となります。
これも、報道されていたところですが、基礎収入月額約41万円の27歳男性(扶養家族2人)が、後遺障害で100%労働能力を喪失した場合、現行の年5%で中間利息控除した逸失利益は約5500万円ですが、年3%では約7400万円に増えると試算されています。
そうすると、次は、いつ、この改正法が施行されるか、その施行日との関係で、いつ発生した事故、あるいはいつ症状固定した事故から3%で計算するかということが、損害賠償の現場では大きな問題になりそうです。突き詰めれば、1日の違いで、逸失利益の額が大きく変わることになってしまうのですからです。