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ホーム > 法律の話(ブログ) > 交通事故 > よく問題となる傷病名から(医学的基礎) > 椎間板ヘルニアの素因減額-判決の傾向(重要)
7回に分けて椎間板ヘルニアの素因減額を見てきましたが、最後に判決の傾向のまとめです。
細かい理由はともかく、この結論を押さえておけば、とりあえず、損保会社との対応は間違わないでしょう。
まず、前提として、椎間板ヘルニアが見付かったとしても、首や腰の症状と事故との関係がないとは考えません(因果関係はあるということです。)。
損保会社は、椎間板ヘルニアがあると、そもそも、首や腰の症状は、事故によるものではないという主張をすることがあります(事故と因果関係がないという言い方をします。)。
しかし、裁判所は、損保会社がいうような考え方は取っていません。
その上で、後遺障害が14級9号「局部に神経症状を残すもの」にとどまる場合には、素因減額はしないのが判決の傾向です。
軽微な事故でも、神経症状を残さないとはいえないのであって、椎間板ヘルニアがどれだけ症状の発症や増悪に関係したかがはっきりしないからでしょう。
ただし、事故前に、椎間板ヘルニアの症状があり、通院していたような場合は、14級でも、素因減額される傾向にあります。
これに対し、後遺障害が12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」については、素因減額するのが判決の傾向です。
そもそも、12級と判断されるのは、MRIなどの画像所見がある場合がほとんどですが、その画像所見に椎間板ヘルニアも含まれていることが多いからです。
そして、12級の場合は、事故前に、椎間板ヘルニアの症状がなく、通院がなくても、素因減額されています。
では、何割くらい素因減額されるかですが、2~3割の素因減額が多いようです。
ただ、これはケースによっていろいろで、少数ですが、5割を超えて素因減額された例もありますし、一方で、1割だけという例もあります。