裁判に負けると相手の弁護士費用を支払わないといけない？

この質問、ときどき受けます。

交通事故の被害者の場合、裁判でゼロで終わることはほとんど考えられないので、完全に「負け」ということはまずありません。
だからでしょう、交通事故の被害者に限っていえば、裁判を起こす前に、負けたら相手の弁護士費用を支払わないといけないのかなどと聞かれることは、ほとんど経験しません。

しかし、判決が出たとき、請求額を減額されると、その減額した割合に応じて、「訴訟費用を原告の負担とする。」と書かれているので、その意味を聞かれることはあります。

心配する必要はありません。ここでいう訴訟費用には、相手の弁護士の費用は入っていません。
訴訟費用のうち、多くを占めるのは、裁判を起こすときに裁判所に印紙で納める費用です。しかし、それは、既に裁判を起こした被害者側で支払っています。
そのほかには、裁判所が相手に訴状などを送るときに使った切手代とか、書面の提出の費用とかです。
いずれにしろ、わずかな額です。

しかも、実際に訴訟費用を取るためには、更に別の申立てをしないといけません。

わずかな額だし、面倒だということで、実際に、訴訟費用を請求しようという人は、ほとんどいません。
私も、25年以上弁護士をやっていますが、自分の側から訴訟費用を請求したことはありませんし、相手方から訴訟費用を請求されたことが1回あるだけです。