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ホーム > 法律の話(ブログ) > 交通事故 > よく問題となる傷病名から(医学的基礎) > CRPS(RSD)はなぜ起こる?
実は、CRPS(RSD)がなぜ発症するのかについても、よく分かってはいません。
以前は、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)と呼ばれていたことからも分かるのですが、交感神経の反射(興奮)が異常に続くことが原因だと考えられてきました。
怪我をすると、自律神経の一つである交感神経が反射的に活性化します。交感神経が活性化すると、血管が縮まって出血を止めたり、余分な腫れを防いだりして、身体を守るのです。
そして、その怪我が治ってくると、交感神経の反射が治まってこないといけないのですが、RSDの場合は、この反射が続きます。その結果、血流の不足した状態が続き、浮腫(むくみ)ができたり、皮膚温が変動したり、発汗が起きたりするというのです。それとあわせて、痛みの悪循環が作られると説明されます。
ところが、RSDの中には、交感神経が関係しない痛みがあることが分かってきたので、前回説明したように、国際的には、RSDという用語はCRPSという用語に置き換えられたのです(→こちら)。
では、CRPSはどうして起きるのかというと、ここが実ははっきりしないのです。
傷付けられた末梢の神経の興奮が、治まらないばかりか、脊髄や脳といった中枢神経系にも伝わっていくという考え方が広まっているようではあります。
身体に異常があって痛みを感じるのではなく、身体に異常がないのに、神経や脳が誤作動して痛みを感じるというところでしょうか。
この中枢神経系の異常が、実は交感神経の異常も引き起こしていたという考え方もあるようです。
そのほかにも、いろいろいわれているようですが、調べれば調べるほど、分からなくなってきます。
どうも、末梢神経や中枢神経が異常に興奮して、ないはずの痛みを感じているというところは、共通理解があるようなのですが、では、どうして神経が興奮するのかというと、そこがよく分かっていないような印象です。
まあ、専門外の者が感じた印象ではあるのですが。
でも、CRPSの存在自体は認められているのですから、そんなに大きな怪我でなくても、激しい痛みが長く続くことがありうることを前提に、きちんとその損害を賠償の対象にすることが必要です。