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前々回(→こちら)、既存障害と今回の事故による後遺障害が同じ等級の場合を考えてみました。
損保会社は、今回の事故による後遺障害を、賠償の対象とはしません(要するに、非該当です。)。
では、本来の加重障害である、既存障害より高い後遺障害になった場合の計算方法は、どうなるのでしょうか。
今回は、逸失利益についてです。
一般に、損保会社が提示してくる計算方法は、単純です。
例えば、既存障害12級だった人が7級の後遺障害を残した場合は、労働能力喪失率について、7級の56%から12級の14%を引いて、42%として計算します。
しかし、この方法は、裁判所が既存障害の加重障害を認める場合にも常に使われるかというと、そうではありません。
計算の基礎とする収入に平均賃金を使う場合には、一応の合理性はあるとされるのですが、実収入を使う場合には、正しくないと考えられています。
難しくなるのですが、例えば、実収入が、既存障害のために、既に低くなっている場合は、既存障害を二重に評価するので、逸失利益が低くなりすぎます。
逆に、実収入が、既存障害があるにもかかわらず高い場合も、既存障害の影響がないのに、既存障害を差し引くのですから、やはり逸失利益が低くなりすぎます。
と書いてみましたが、やはり難しいですね。
ここは、裁判になると、労働能力喪失率を単純に差し引く方法よりも高額な逸失利益が認められる場合があることだけを覚えておいて、後は、弁護士に相談してみるのが無難です。