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労災保険を先行させた場合の注意

交通事故の損害賠償が判決で決着する場合は、裁判所が必要な処理をするので、裁判所が求める資料を提出しておけば間違いはありません。
問題となるのは、休業損害や逸失利益ですが、休業損害の額から労災の休業補償給付が差し引かれますし、逸失利益から審理が終わるまで(口頭弁論終結時まで)に額が確定している障害補償年金が差し引かれます。審理が終わった後(口頭弁論終結後)の障害補償年金は、事故発生から3年までの間、支給が停止されます。

気をつけなければいけないのは、交渉で示談(和解)するときです。
一般に、示談(和解)するときは、全ての損害について示談(和解)するのであって、その余の請求を放棄し、他に債権(請求権)がないことを確認します。
しかし、労災保険を受給しているときに、この通常の方法で示談(和解)すると、以後の労災保険の給付を打ち切るのが労基署の扱いです。
当事者の意思(少なくとも被害者の意思)としては、本来請求できる額より少ない額で示談(和解)するのですから、労災保険の給付は、別途、受けるつもりだと思います。労基署の扱いが合理的なのか疑問ですが、そうなっている以上は仕方がありません。

そもそも、請求するときに、別途、労災給付があるとして、休業損害や逸失利益の請求をしていなければ(つまり、慰謝料だけを請求していれば)、示談(和解)しても、労災給付とは無関係でしょう。
しかし、まだ、労災給付を受けていないからと思って、逸失利益の請求をしているときには、示談(和解)するときに、労災給付を別途受けることを確認しておくことが必要です。
具体的には、「労災保険法に基づく過去分及び将来分の給付を除き,○○○円の支払義務があることを確認する。」としておけば、労災保険の支給停止はないとされています。