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逸失利益を考えるとき、例えば、後遺障害が残るので今後5年間収入が減るからといって、×5をすればいいというものではないといいました。
それが、中間利息控除です。
将来の分の一括前払いを受けるので、利息分を割り引こうという考え方です。
例えば、5年間、毎年100万円ずつ収入が減るからといって、500万円の逸失利益の賠償を受けられるわけではありません。
裁判所の考え方は、この例だと、432万9500円の逸失利益になります。
432万9500円の一括の前払いがあれば、これを運用していくと、5年間で500万円になるというのです。
その間の利息を差し引くので、中間利息控除といいます。
そして、その計算方法は、何通りかあるのですが、今の裁判所の考え方は、ライプニッツ方式という計算方法です。
その計算方法で、中間利息を控除した掛け率をライプニッツ係数といいます。
ライプニッツ係数で検索すれば、その表はネット上で簡単に入手できるので、ここでは省略です。
ちなみに、自賠責が使うライプニッツ係数は、小数点以下3桁です。例えば、5年だと4.329です。
しかし、裁判所は、小数点以下4桁の係数を使います。例えば、5年だと4.3295です。わずかですが、裁判所の使う係数の方が金額が高くなります。
そこで、432万9500円を元手に、5年間で500万円に増やすということは、年何%で運用すればいいのかというと、年5%という高利になります。
今の世の中、年5%で安定的に運用できる投資先などあるはずがないのですが、最高裁判所がそういう判決を出したので、どうしようもありません(最高裁平成17年6月14日判決)。
実は、以前は、一部の裁判所とはいえ、現実問題として年5%で運用できるわけがないとして、年2~4%で運用する計算をした判決がありました。でも、もうそういう理屈は通用しなくなってしまいました。