TEL: 095-820-2500
[平日] 9:00~17:00
2020/05/08
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態制限を受け、長崎でもテイクアウト営業を開始した飲食店が多く見られるようになったことは、前回記事でも紹介しました。
先日、店の店先で容器に梱包された食品を、台の上に積んだ状態で陳列しテイクアウト販売している飲食店を(複数)見かけました。
これも、経営上の創意工夫からきたものでしょうが、このような販売方法は、食品衛生法上の観点から注意が必要です(店舗の敷地を越えて公道にはみ出して販売している店も見かけましたが、これは食品衛生法とは別に、道路交通法上の問題もあります。)。
テイクアウト販売自体は、飲食店営業許可その他必要な許可があれば可能です(必要な許可については必ず管轄の保健所に確認してください。)。
ただし、販売にあたり、衛生管理の面で配慮は必要です。
この記事では、飲食店事業者がテイクアウト販売を検討する際に衛生管理の面で注意すべきことを弁護士原幸生が解説します。
食品衛生法は、50条2項で、都道府県は、営業施設の内外の清潔保持のため条例で必要な基準を定めることができると規定しており、これを受けて、長崎県は、長崎県食品衛生に関する条例で「管理運営基準」を定めています(条例2条)。
「管理運営基準」には、別表第1の「5 販売に係る衛生管理」の項で、「やむを得ない場合を除き、直射日光を避け、適切な温度の管理をする等衛生管理に注意すること。」と規定されています。
弁当等の屋外販売における衛生状態は、屋内や自動車での販売と比べ、天候や直射日光、路面からの反射熱、外気温といった環境条件による影響を受けやすいと言われています。
東京都食品安全審議会における実態調査によれば、容器内の温度は、外気温より10℃以上高くなることもあるようです。
参考URL:
弁当等に関する食品販売の規制の在り方について(東京都)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/jourei/2013/files/3shingikai/siryou4.pdf
店先で販売するような場合も、どのような態様であれば「管理運営基準」をクリアできるかについて配慮が必要です。
緊急事態宣言がいつ解除されるかは不明ですが、宣言解除後も、感染予防意識の高まりから国民の生活様式に変化が見られ、以前よりテイクアウトの需要が増加することも考えられます。
これからの季節、夏は高温多湿となり、食中毒が起こりやすい季節でもあるため、テイクアウト販売を検討する際は、適切な販売方法であるかについても、管轄の保健所へ確認・相談することをお勧めします。