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自営業者の休業損害-いくつかの考え方

自営業者の休業損害は難しいことに、簡単にふれたことがあります(→こちら)。

先日も、自営業者の休業損害について(特に、基礎収入について)、相談を受けたので、整理しました。

そもそも、休業損害とは、事故による怪我のため、事故前のように働けなくなり生じる収入の減少です。

そして、自営業者の場合、収入は、所得税の確定申告書で確認されます。そこで、過少申告が問題になることを、以前、説明したのでした。

では、過少申告がないとして、どのように基礎収入を考えるかですが、いくつかの考え方があります。

A まず、事故の前年の所得と、事故により休業した年の所得を比べ、減収額を計算する方法が考えられます。
しかし、自営業者は、事故にあえば、いろんな工夫をして減収を押さえようとするので、所得の減少がはっきり出ない場合が結構あります。

B そこで、事故の前年の所得を365日(又は366日)で割って日額を出し、これに休業期間(日数)をかけるという方法も使われます。
ただし、所得には、固定経費をプラスすることが必要だとされています(理屈は難しいので、改めて。)。
また、休業期間(日数)として、入院している期間はともかく、通院している期間を100%休業しているとは考えません。休業割合が問題になります(これも、改めて。)。

と、ここまで書いて、最近の文献を見てみると、裁判所がBの考え方を使うのは、事故にあった自営業者が、事故にあった年の確定申告をするとき、所得額を少なく申告することがあり、信用できないからだと書いてあるのを見付けました。確かに、事故にあったときの所得をわざと少なく申告してAで計算すれば、休業損害を大きくすることができます。
そんなことをする人がいるのですね。ちょっと驚きです。事故にあったのに、所得を減らすまいと頑張った結果、Aだと休業損害がわずかしか出ないというケースしか扱ったことがないので。

続きは次回へ。