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慰謝料全般の話しはまたいつかということにして、よく相談を受けるのが、神経症状(痛みやしびれなど)の傷害(入通院)慰謝料です。
自賠責は、1日4,200円と決まっているので、あとは、日数を何日と考えるかの問題です。治療期間と実治療日数(病院に通った日)の2倍の少ない方とされています。
これに対し、裁判基準は、もっと高額になるのですが、問題は、「むち打ち症で他覚症状がない場合」について、より低い基準が別に決められていることです。
赤い本では、原則を「別表Ⅰ」に定めてあり、「むち打ち症で他覚症状がない場合」については、「別表Ⅱ」というより低い基準を使うとされています。
例えば、通院6か月だと、別表Ⅰでは116万円なのに、別表Ⅱでは89万円です。
どうして、「むち打ち症で他覚症状がない場合」は低い基準なのかというと、本人の気質的な要因等が影響して、入通院期間が長期化することがあるからだとされています。
「他覚症状がない」の意味も問題になるのですが、今回は、「むち打ち症」でない神経症状の場合が、別表Ⅰなのか別表Ⅱなのかという問題です。
具体的には、多いのは腰部捻挫です。膝関節捻挫とか肩関節捻挫とかの相談もあります。
損保会社は、こういった神経症状全般について、「むち打ち症で他覚症状がない場合」に準ずるとして、別表Ⅱが適用される場合だと主張します。
では裁判だとどうかというと、判断は分かれます。
赤い本には、「むち打ち症」としか書いてないことや、むち打ち損傷でなければ、それほど本人の気質的な要因等が影響するものではないことなどを考えて、「むち打ち症」でなければ、別表Ⅰを適用するという裁判官もいます。
一方で、神経症状であれば、「むち打ち症」でなくても、本人の気質的な要因等が影響するとして、別表Ⅱを適用する裁判官もいます。
このような議論があることが分かった上で、赤い本は、毎年の改訂でも「むち打ち症で他覚症状がない場合」という書き方を改めません。ということは、「むち打ち症」でなければ、神経症状であっても別表Ⅰを使うのが原則だと考えるのですが、皆さんはどう考えますか。