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ホーム法律の話(ブログ)交通事故よく問題となる傷病名から(医学的基礎) > 前十字靱帯損傷の診断(何が重要か)

前十字靱帯損傷の診断(何が重要か)

どんなけがでもそうですが、医師は、まず、どのようにしてけがをしたのかを尋ねます。
事故で膝に強い力が加わったのであれば、当然、膝の靱帯の損傷も考えます。
例えば、単車に乗っていて事故に逢い、足をついたと言えば、前十字靱帯損傷の可能性が出てきます。

その上で、医師は、患者の膝を前後左右に押したり、引っ張ったりして、膝がぐらついていないか確かめます(徒手不安定検査といいます。)。そのときの膝の緩み方で、膝のどの靱帯を傷付けたのかが分かります。
前十字靱帯損傷だと、どんな検査で所見(異常)が出るのかは、次回説明します。

今日は、画像診断の位置付けです。
前十字靱帯損傷に限らず、損保会社(調査事務所)は、画像診断を重視しすぎる傾向があります。
前十字靱帯損傷であれば、MRIで所見(異常)がなければ、後遺障害の認定は難しいのが実情です。

痛みが一貫して続き、症状固定時にもその痛みが残っていることが、診断書から明らかであれば、神経症状として14級9号(局部に神経症状を残すもの)にはなるかもしれません。
しかし、MRIで所見(異常)がなければ、12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)の認定も難しいでしょうし、動揺関節として、12級7号(関節の機能に障害を残すもの)、10級11号(関節の機能に著しい障害を残すもの)、8級7号(関節の用を廃したもの)の認定は無理です(動揺関節の後遺障害等級については、→こちら)。

ここに、医師の感覚と調査事務所の判断のずれがあることは、以前も説明しました(→こちら)。
例えば、日本整形外科スポーツ医学会のパンフレットでは、「診断には徒手的診察が重要です。補助的診断法としてMRIが役に立つことが多いです。」と説明されています(→こちら)。
確かに、MRIの靱帯損傷の診断率は、90%以上とされているようですが、100%ではないのですから、MRIで所見(異常)がないからといって、前十字靱帯損傷ではないというのは、非科学的です。

といっても、調査事務所が前十字靱帯損傷と見ないのであれば、あとは、裁判で争うしかありません。
医学が絡むケースも扱っている弁護士に相談すべきです。