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被害者の過失部分を支払う保険

今日も日曜日なので、こんなことがありましたという話しを。

被害者側にも過失があると、その過失割合を除いた分が損害賠償の対象になります。
「過失相殺(かしつそうさい)」です。

ところが、その被害者の過失割合の部分を支払う保険があるのです。
「対歩行者等傷害特約」とか「交通弱者補償特約」とかいいます。
いくつかの損保会社が取り扱っています。

対象は、被害者が歩行者や自転車の場合です。
車対歩行者、車対自転車の事故ですから、車の運転者は無傷で、一方的に怪我をするのは歩行者、自転車側です。
そんな場合に、いくら被害者側に過失があるといっても、なかなか法律の理屈で割り切れるものではありません。
それを補償するのがこの特約です。

もっとも、この特約を使うケースは珍しく、原総合法律事務所でも、先日、1件扱いましたが、その前に扱った記憶がありません。
自動車保険(任意保険)に入れば、自動的にこの特約が付いてくる損保会社も1社だけあるようですが、あと数社が有料のオプションになっているぐらいで、あまり普及していません。そもそも、この特約がない損保会社がほとんどですから。

ちなみに、そのとき考えたのは、損保会社から、この特約で補償する額の提示があり、それに納得できないとき、どのような裁判が可能だろうということでした。例えば、自賠責からは過失の減額がなく、自賠責基準全額の支払があったとして、それが裁判基準の過失相殺後の額を超えると、通常の損害賠償としての裁判はできません。
損保会社に対して、直接、保険金の請求をすることになるのでしょう(この特約でも、約款上、被害者からの直接の請求ができるとされているのか、未確認です。)。