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自営業者が、事故の後、廃業したというケースを何回か担当したことがあります。
そういう場合、まず、事故のために廃業したのかが争われます。
怪我の重さにもよりますが、14級の神経症状程度しか残さないむち打ち損傷などのケースでは、事故による廃業とは認められない場合が多いと思います。
また、自営業者の場合、かなり高齢になっても、仕事を続けている場合があります。70歳を超えていたりすると、事故がきっかけにはなったのでしょうが、事故のための廃業というよりも、年齢のためと判断される場合が多くなります。
事故による廃業であれば、廃業後も、休業損害が認められるのは当然です。
加えて、廃業のためにかかった費用も賠償の対象になります。例えば、賃貸していた店や事務所を原状回復して明け渡すのにかかる費用などです。様々な機器類のリース料も、機器類を引き揚げて回収できた額を除いた残額は、一括請求を受けますから、それを支払ったりすると、損害になります。
裁判所の判断を見ると、開業後、間もなくしての事故で廃業したようなケースだと、むしろ、開業費用(当然、廃業費用より高額になります。)を損害と考える例もあるようです。
一方、事故により廃業したとはみられない場合でも、通常、次の仕事に就けるであろう時期までの休業損害は認められてしかるべきです。
しかし、廃業のための費用は、事故による廃業でなければ、認められないはずです。
ただ、損保会社との交渉の段階では、結局は、総額の問題になり、廃業のための費用は認めるが、廃業後の休業損害は認めないといった解決も、実際に経験したことがあります。高齢の被害者で、事故にあわなくても、早晩、廃業しただろうと思われるケースではありましたが。