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椎間板ヘルニアの素因減額-「公平を失する」か

もう一度、最高裁判決を読んでみましょう(→こちら)。
1. 事故前から「疾患」があって、
2. 事故と事故前の「疾患」が共に原因となって損害が発生した場合で、
3. さらに、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときに、
素因減額できると書いてあります。

事故前に椎間板ヘルニアがあって、その椎間板ヘルニアと事故が共に原因となって、症状が出たとしても、それでも素因減額をしなければならないと決まっているわけではありません。
素因減額しなくても、「公平を失する」といえなければ、素因減額しなしてもいいのです。

「公平を失する」かどうかは、考え方次第ですから、被害者側弁護士としては、最後の拠り所として、「公平を失する」とはいえないと主張しておくことが必要です。

そして、椎間板ヘルニアのケースで、そのような観点から素因減額を否定した判決と思われるのが、東京高裁平成20年1月24日判決です。次のように言っていて、参考になります。
「仮に上記椎間板ヘルニアが経年性のもので本件交通事故前からあったものであるとしても、頚椎椎間板ヘルニアを抱えながら社会生活を送っている者は多数存在しており、控訴人の上記ヘルニアが特殊なものであるとの主張立証もないから、同ヘルニアのあったことを損害賠償額の減額事由として考慮する必要はない。」