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ホーム > 法律の話(ブログ) > 交通事故 > よく問題となる傷病名から(医学的基礎) > 腱板断裂と可動域制限
前回の復習ですが、腱板断裂後、運動の制限が残ると、可動域制限として後遺障害が認められる可能性があります。
ただ、腱板断裂だけでは、可動域の制限は強くなく、自動はできなくても、他動で腕は上がることが多いとされることも説明しました。その際、腱板断裂に関節拘縮や筋萎縮が加わり、可動域の制限がひどくなることにもふれておきました。(→こちら)
腱板断裂の場合、腱板機能訓練(リハビリ)が必要なことも説明しました(→こちら)。
このリハビリが不十分だと、関節が固まったり(関節拘縮)、筋肉が弱ってきて(筋萎縮)、可動域制限が進んでしまうのです。
だとすると、その可動域制限は、リハビリを十分に行わなかった医療機関の責任だとか、リハビリに十分取り組まなかった被害者の責任だとか言われそうです。
しかし、そういうものでもありません。リハビリがどれだけ有効かについては、当然、個人差があります。
また、損保会社が、腱板断裂を認めず、腱板断裂に対する治療費を支払わないと言うので、医療機関が腱板断裂に対するリハビリを行わず、その結果、関節拘縮が進むという場合すらあります(実際に原総合法律事務所で経験したケースです。)。
腱板断裂後の関節拘縮については、可動域制限による後遺障害を積極的に認めていくべきです。もっといえば、腱板断裂の確定診断がなくても、関節捻挫といった肩の外傷が認められれば、その後の関節拘縮は、交通事故の後遺障害と認められるべき場合があると思います。
でも、この交通外傷後の関節拘縮ですが、医学論文のデータベースで検索しても、正面から取り上げている文献にヒットしません。
医療の現場で交通外傷の治療に当たる整形外科医からは、あり得る経過だとの意見は聞くのですが。