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ホーム > 法律の話(ブログ) > 交通事故 > よく問題となる傷病名から(医学的基礎) > 事故から時間が経って発症する頭蓋内の出血(血腫)
事故直後に発症する頭蓋内の出血であれば、事故との関連(因果関係)は明らかです。例えば、事故直後の硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血などです。
これに対し、事故から時間が経って発症すると、事故との関連(因果関係)が分かりづらくなってきます。
その難しい例として、事故後の様々なストレスのために血圧が上がるなどして、動脈瘤が破裂するくも膜下出血があるということを説明したことがあります(→こちら)。動脈瘤は、もともとその人が持っていたものですし、動脈瘤が破裂する要因もいろいろ考えられるので、確かに、事故との関連(因果関係)を証明することは簡単ではありません。
それに比べると、同じく事故から時間が経って発症するのですが、慢性硬膜下血腫は事故との関連(因果関係)の証明が容易です。
慢性硬膜下血腫の場合、頭部外傷から一定の期間、例えば3~8週間経って発症するとされているので(→こちら)、逆に、発症から3~8週間前に他に頭部を打撲したようなことがなければ、その原因が事故だといいやすいのです。
とはいっても、慢性硬膜下血腫の原因となった頭部打撲が不明な例もあるとされているので、そのことを拠り所に、原因不明な慢性硬膜下血腫かもしれず、事故との関連(因果関係)の証明は不十分だと反論されるかもしれません(まあ、そういう反論は認め難いでしょうが。)。