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CRPS(RSD)の診断基準

もともと、RSDの主な症状といわれてきたのが、
疼痛、腫脹、関節拘縮、皮膚変化(栄養障害)
の4つです(RSDの4主徴)。
加えて、交感神経の反射異常による二次変化として、発汗・温度の変化、骨萎縮、栄養障害、血行障害などが挙げられます。

一方、世界的には、国際疼痛学会(IASP)が1994年に判定指標を明らかにしていて、簡単にまとめると、浮腫、皮膚温異常、発汗異常のいずれかが罹病期間のいずれかの時期に認められれば、CRPSと判定するとしています。萎縮性変化(皮膚、体毛、骨)、関節可動域制限、運動機能低下、交感神経依存性疼痛は、CRPSの関連項目としてあげてはいますが、判定には使用しないというのです。
これだと、基準として甘すぎて、CRPSの疑いのある人を拾い上げるにすぎないといわれています。

そこで、日本でも、2010年に厚生労働省CRPS研究班が、日本における判定指標を明らかにしています(→こちら)。
長くなるし、専門的なので、詳しい内容は引用している論文を見てもらうとして、大雑把にいうと、強い痛みや知覚過敏があるのは前提でしょうから、後は、皮膚・爪・毛のいずれかの萎縮性変化、関節可動域制限、発汗異常、浮腫のいずれかが、過去の自覚症状として、及び診察時の他覚所見としてあれば、CRPSと判定するというものです。
IASPの判定指標よりは厳しくなっていて、これによれば、おおむね8割の正確さで、CRPSの判定ができるといいます。

ちなみに、この厚生労働省CRPS研究班の判定指標には、わざわざ、補償や訴訟などで使用するべきではないとか、後遺障害の有無の判定指標ではないとの但し書きがついています。
確かに、後遺障害の有無や程度は、CRPSという診断があれば自動的に決まるというものではないのですが、何もそこまで書かなくてもという気がします。