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ホーム > 法律の話(ブログ) > 交通事故 > よく問題となる傷病名から(医学的基礎) > 交通事故とくも膜下出血
交通事故の頭部外傷というとびまん性軸索損傷などの高次脳機能障害が最近は注目されていますが、やはり割合として多いのは、頭蓋骨陥没骨折、急性硬膜下血腫、脳挫傷、脳内血腫といったもっと直接的な怪我でしょう。
その中では、今回は更にマイナーですが、くも膜下出血の話しです(マイナーといっても、扱ったことがあるからテーマにするのですが。)。
交通事故の関係を離れれば、くも膜下出血という病気は、かなり知られていると思います。
脳のくも膜下腔という場所にある脳に血液を送る動脈にこぶ(動脈瘤)ができ、これが破裂する病気です。こぶが膨れて薄くなり、また動脈硬化などで弱くなっていたところに、何かのきっかけで(血圧が上がったりして)、こぶが破れるのです。
このくも膜下出血ですが、動脈瘤の破裂というのではなく、交通事故の際の頭部の衝撃によって、血管が傷付き、出血する場合もあります。外傷性くも膜下出血といいます。
これは、当然、交通事故による傷害ですから、賠償の対象となります。
これに対し、事故から時間を置いて動脈瘤が破裂し、くも膜下出血になった場合は、どうでしょうか。
交通事故と全く関係がないと言い切れるかという疑問です。
交通事故にあうと、外傷時の恐怖、外傷後の疼痛等の症状、日常生活の支障、仕事の支障、将来への不安などが重なって、様々なストレスにさらされます。それがきっかけになり、血圧が上がったりして、脳動脈瘤を破裂させることはあり得ることだと思うのです。
損保会社(調査事務所)は、脳動脈瘤は、もともと本人が持っていたものだから、その破裂は交通事故と関係がないと言うのですが。(次回へ続きます。)