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ホーム > 法律の話(ブログ) > 交通事故 > よく問題となる傷病名から(医学的基礎) > 前十字靱帯損傷の診断-医師との面談の例
医師との面談の例として、こんなことがありました。
膝の怪我に前十字靱帯損傷があります。
動揺関節の後遺障害(→こちら)を残すことがあるので、膝の怪我の場合、その有無は重要です。
その前十字靱帯損傷ですが、文献を見ると、徒手検査とMRIで診断すると書いてあります。
そのMRIで所見がないのに、前十字靱帯損傷の診断があり、実際に膝関節の不安定性を訴える方がおられました。診療録の開示を受け、読んでみましたが、やはり前十字靱帯損傷と診断した理由が足りないような気がしました。他院にMRI検査目的で紹介していますが、そのMRIの結果も所見なしです。診療の途中で徒手検査が行われ、陽性(+)となっていましたが、当初は、徒手検査が行われていません。その後、関節鏡が行われていましたが、その意味もよく分からなかったのです。
そこで、医師に面談したところ、同様の症例を多く扱う整形外科医の経験をふまえた説明に、なるほどと思いました。
以前も書きましたが(→こちら)、経験が豊富な整形外科医であれば、画像に頼らず、徒手検査で前十字靱帯損傷の有無は分かるというのです。ただ、事故直後は、痛み等のために、徒手検査ができなかったり、行っても不正確だというのです。
それで、事故直後、徒手検査の陽性所見がないことが分かりました。
さらに、一般には、有効とされるMRIですが、撮り方や、拘縮のため、前十字靱帯損傷があっても、MRI所見のない場合があるというのです(→こちら)。
それでも、徒手検査の結果、前十字靱帯損傷を疑わせる膝関節の不安定性があれば、関節鏡で確認することがあるとのことで、この被害者の方は、まさにそのために関節鏡を行っていたのです。そうすると、前十字靱帯が蛇行しているのが見え、それが前十字靱帯損傷の所見だったのです。(→こちら)
文献では得られない貴重な情報でした。