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前回、事故状況については、実況見分調書が信用されると書きました。
そうすると、実況見分調書にはこう書いてあるけれど、実際はこうだと「実況見分調書を争う」のは、かなり難しいということになります。
自分の記憶と違うと言いたい気持ちは分かりますが、勝ち目の少ない戦いに挑むのは、賢明ではありません。
そもそも、事故は、咄嗟の出来事なので、そんなに正確に記憶できるものではないという問題もあります。こうだと思っても、思い違いだったり、思い込みだったりということもありえます。
それよりも、仮に、実況見分調書を前提としても、~~だから、加害者側の落ち度が大きく、被害者側の落ち度はわずかであるという方が、いい結果を残せます。「実況見分調書で争う」のです。
例えば、実況見分調書には、加害車両が1の位置のとき、被害車両はアの位置にあり、加害車両が2の位置のとき、被害車両はイの位置だったなどと書いてあります。そうすると、1と2の間の距離と、アとイの間の距離から、加害車両の速度と被害車両の速度の比が分かります。また、被害者に気付きブレーキを踏んだ位置と車が止った位置との距離から、加害車両のスピードを計算することもできます。実況見分調書を細かく見ていくと、いろんなことが分かってきます。
そのためには、簡単な物理的、数学的な思考が必要になりますが。
そうして分かってくる事実から、被害者の落ち度がわずかだったことを明らかにしていくのが被害者側弁護士の仕事なのです。